外壁塗装に火災保険は使える？

火災保険とはどんな保険？

「火災保険」は火災が生じた際に利用できる保険だと思われがちですが、火災だけではなく落雷・風災・爆発・雹・雪災等の自然災害による被害の「原状回復」に使用することが出来るのが保険です。

また、原状回復とは被害に遭う前の状態に戻すという事であり、お住まいの機能性を向上させることではありません。

例えば、台風で雨樋が破損してしまった場合、原状回復のため従来と同じ雨樋を設置するために必要な資材、工事費用、それ以外にも足場仮設や撤去・処分にかかった費用は火災保険で補償されますが、被害箇所ではない部分までも含めた全交換、また機能性を高めるために雨樋の形状を変更する、落ち葉除けネットを設置するといったような被災前とは異なる状態にすることは出来ません。

火災保険の種類

戸建住宅向けの火災保険には、「住宅火災保険」「住宅総合保険」「新タイプの保険（オールリスク）」の３種類が主に利用されます。

住宅火災保険

住宅火災保険の補償内容に加え、飛来物の落下、衝突、水濡れ、騒じょう、労働争議、盗難、水災によって生じた損害などを補償します。

住宅総合保険

最も一般的な火災保険です。住宅火災保険の補償内容に加え、飛来物の落下、衝突、水濡れ、騒じょう、労働争議、盗難、水災によって生じた損害などを補償します。火災による損害のほか、落雷、破裂、爆発、風、ひょう、雪災による損害を補償します。

新タイプの保険（オールリスク）

住宅総合保険の補償内容に加え、カギの紛失や水回りトラブルへの対応を受け付けています。災害時の時価ではなく実損額での補償がされるの商品が多い。住宅火災保険・住宅総合保険よりも暴行・騒擾（騒じょう）による破壊（損壊）など広範囲の内容に柔軟に対応しており、お客様のにニーズに合わせて[工事規模の大小にかかわらず保険金が支払われる]・[家のタイプごとに細かく補償範囲を設定できる]など契約内容が選べるものです。

火災保険が適用される条件

外壁・屋根塗装で火災保険が適用される条件は4つです。

外壁・屋根の破損が災害によるものであること

先述の通り、外壁塗装に火災保険が使えるのは、災害によって外壁・屋根に被害を受けたことで修繕や補修が必要になった場合のみです。自己都合で外壁が破損した場合は適用できず、災害が修繕の原因となる時のみ適用します。

火災保険で認められる災害とは、台風などの風災、豪雪などの雪害、豪雨、落雷のような状況を指します。水害（洪水・高潮など）や窃盗、騒擾は、プランによっては補償の対象外なので、保証内容を確認しましょう。

また、地震による火災や破損も火災保険の補償対象外で、地震のリスクまでカバーする場合には、地震保険に加入する必要があります。

被災から3年以内に申請を行うこと

火災保険が適用できるのは、申請から3年以内に受けた損害についてのみです。被害から3年を過ぎると、被害の原因特定が難しくなることを理由により、保険金の請求権が消滅時効を迎えてしまうためです。（保険法第95条(消滅時効））

既に自費で既に工事を行ってしまっていても、3年以内であれば工事の請求書をもとに保険金を申請することができます。

損害の補修にかかる費用が火災保険の免責金額を超えること

火災保険には、免責金額といって、「損害が一定額以下の場合は契約者の自己負担で補修する」という基準になる金額があります。保険のパンフレットなどでは、自己負担額と表記されているものです。外壁塗装に火災保険を使うためには、補修費用が火災保険の免責金額を超えている必要があります。

火災保険を利用する注意点

実際に外壁塗装に火災保険を適用する際には、事前に知っておくべき注意点がいくつかあります。

契約した保険金額をすべて受け取れるわけではない

火災保険が適用されたとしても、契約した保険金額が全額受け取れるわけではありません。
火災保険は実際に受けた損害額の補償を目的としており、実際にいくら保険金が支給されるのかは鑑定人の鑑定次第になります。

一定の保険金額を請求すると保険契約が終了する場合がある

基本的に火災保険は、最初に契約した保険金額を上限として、損害を受けた都度何度も請求が可能です。ただし、保険金額の一定割合以上を一度に請求すると、その時点で保険契約が終了することがあります。

被害を証明する写真が必要になる

火災保険の請求時は、被害状況を客観的に証明するため、破損箇所の写真提出を求められることが多いです。正しい金額を請求するためにも、片付けや補修をする前に必ず被害を証明する写真を用意しましょう。

悪質業者のトラブルに巻き込まれる恐れがある

日本は台風や地震などの自然災害が多いことから悪質業者による勧誘が多く、日本損害保険協会も注意喚起しています。保険請求手続きで高額の手数料を請求されたり、保険会社への申請のために虚偽報告を強要されたりと悪質な業者とのトラブが増えています。

さいごに

火災保険といっても、保証内容によっては火災による損害だけではなく様々な自然災害などにも、保険適用が認められます。外壁塗装には高額な費用がかかることも多いですが、火災保険を使えば費用負担を軽くできる可能性があります。せっかく火災保険に加入しているのであれば、見落とさずにしっかり活用したいものですね。

大切なことは、ご自身が契約している火災保険の内容を見直し、よく理解することです。火災保険のしくみを悪用する業者が存在するため、騙されないよう注意が必要です。