塗料の種類と特徴

塗装工事基礎知識

外壁や屋根の塗装のリフォームを決めた時に、まずはネットやリフォーム会社のチラシで情報収集する方が多いと思います。様々が業者のホームページや比較サイトがあり、「塗料って種類が沢山ありすぎてどれを使えばいいのか分からない」「結局一番人気のある塗料は」「ネットではお得なシリコンを押しているのに、ショールームだと高い塗料を勧められた」など悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか?

一般的に使用される外壁塗装の各塗料の特徴と外壁の塗料を選ぶ際に理解しておくとよいポイントを解説していくので、自分の家に一番合っている物はなにか参考にしてください。

塗料の仕組み

何故塗料にはこんなにも種類が多いのでしょうか。

近年の消費者のニーズが多様化するとともに、ニーズに合わせた価格帯、耐久性、機能を追求した結果、現在のように様々な塗料が作られる事になりました。

【樹脂】
硬化して塗膜の主成分となるもの。アクリル塗料やフッ素塗料などのグレードを決定するのはこの樹脂による。樹脂の種類によって耐候性が変わる。

【顔料】
水・油・一般溶剤などに溶けない着色または無色の粉末。

【添加物】
塗膜を形成する副要素。防カビ、防錆、防腐、凍結防止など様々な機能を塗料に付与する。

【溶剤】
樹脂類の希釈の為に配合されるもの。揮発性の為、塗膜にならずに蒸発する。

塗料は、色を付ける顔料、塗料の主成分となり耐久性を決定する樹脂、防カビなど様々な機能を付与する添加剤、そしてそれらを溶かす溶剤で作られています。

主成分となる樹脂の部分で「ウレタン」「シリコン」など大きく分けて6種類のグレードに分かれます。また塗料の中に含まれる合成樹脂の種類や付与された機能によって耐用年数と価格が変わってきます。

外壁用塗料の種類

それでは、どんな樹脂の塗料があるのか一覧にしてみてみましょう。
ご自宅の状況・環境・ご予算など踏まえて総合的に判断し、最適な塗料を選びましょう。


塗料ごとの特徴

ウレタン塗料

【耐用年数】6~10年  【塗装単価】1,800~2,200円/m2
シリコン塗料が一般的になる前に普及していた塗料で、一般的によく使われており、価格と機能のバランスがいい塗料です。非常に伸びが良く、独特の光沢があるのが特徴です。

またモルタル・鉄・アルミ・コンクリートの外壁とも相性がよく、弾力がありゴムのように伸縮する製品もあるので、木材にも塗装可能です。

メリット デメリット
・安価で経済的
・密着性と延びが良い為、施工がしやすい
・他の塗料に比べて耐久性や防汚性に劣る
・塗り直し回数が増えると、長期スパンで割高 
ウレタン塗料のオススメ使用例

とにかく価格の安さ重視」
…下地が熱によって伸縮するモルタル壁への塗装には最適な塗料です。
「長く住む予定はないので、とりあえず耐久性が低いウレタン塗装」
…他の塗料と比べ耐久性が低い傾向にありますが、数年後に大規模リフォームが控えてるなど、つなぎで塗り替える分には十分です。

「雨樋などの付帯部だけ安価なウレタン塗装を使用」
…外壁塗装ではなく、その密着力を生かし、雨樋などの付帯部にだけウレタン塗装を使用し、料金抑え、外壁や屋根にワンランクグレードの高い塗料を検討するといった塗り分けも可能です。

シリコン塗料

【耐用年数】8~10年  【塗装単価】2,000~3,000円/m2
現在外壁塗装の主流となっているのがシリコン塗料です。値段と耐久性のバランスがよく、カラーバリエーションも豊富な事が理由としてあげられます。比較的大きめの戸建てでも100万円以下で塗装可能になることが多いことなどから、コストパフォーマンスに優れた塗料として人気です。

撥水性、防汚性、耐熱性など現在の住宅に求められる標準的な性能をクリアできますので、「塗料選びに迷ったら、シリコンがよい」と勧める塗装業者も多く見られます。コンクリート外壁に特化した塗料や速乾性の特性を持つ塗料、10年以上の高耐久の商品などバリエーションも豊富です。

メリット デメリット
・価格と耐久性のバランスが良い点
・親水性という特徴をもつたため、ウレタン塗料よりも汚れにくい性質
・塗膜の伸び縮みが少ないため、地盤の揺れや外気の寒暖差によってひび割れを起こす
・最も多く使われる塗料のため、選ぶのが難しい
シリコン塗料のオススメ使用例


「標準的が外壁」
…塗料の性能もピンキリですが、戸建てに求められる性能を満たしてくれるため、シリコン塗料が最も一般的で適切な塗料として使われます。
「メンテナンスの手間が省きたい」
防汚性に優れたシリコン系塗料は、汚れが付着しにくく、付着した汚れを簡単に落とすことができます。交通量が多い道路の面しているお家やメンテナンスをの手間を減らしたいという方にオススメです。

ラジカル制御型塗料

【耐用年数】12~15年  【塗装単価】2,500~3,500円/m2
ラジカル制御形塗料とは、塗膜の劣化原因であるラジカルの発生を抑制する酸化チタンと光安定剤(HALS)が含まれている塗料のことを言います。価格と耐久性に対するコストパフォーマンス、美しい光沢、低汚染性にも優れている最近人気の塗料です。ハルスハイブリット塗料、ハイブリット塗料などの名称でも販売されています。

ラジカル塗料は、ラジカル制御酸化チタンと光安定剤が含有されている塗料を指しますので、シリコン塗料、フッ素塗料などに含ませると、ラジカル制御型シリコン塗料、ラジカル制御型フッ素塗料になります。

メリット デメリット
・塗膜の耐候性が非常に強くなる
・コストパフォーマンス(総合メリット)が良い
さまざまな下地と相性が良い
・汚れが付きにく
・新しい塗料の為、実績が少ない
・製品数が少ない
・濃い色が使えない
ラジカル制御形塗料のオススメ使用例


「ホワイト系の外壁
…ラジカル塗料は高耐候酸化チタンが主成分で顔料は白色です。白系の外壁には、ラジカル制御形塗料を使用することで、劣化を軽減し、機能的で美しい外観をより長く保つことができます。
「高光沢の外観を長く保ちたい場合
…高分子ポリマーが塗膜面の隙間をぴったりと埋めるため、塗膜面が滑らかになり美しい艶が出てます。
「紫外線による塗膜の劣化対策
…酸化チタンによるチョーキング現象の発生を制御する機能が、ラジカル塗料の大きな特徴です。建物の外壁や屋根のように常に紫外線の影響を受ける場所へ使うと良いでしょう。

フッ素塗料

【耐用年数】12~20年  【塗装単価】3,500~4,800円/m2
フッ素塗料とは、ホタル石という天然石を使用し、フッ化カルシウムを主成分とした塗料です。非粘着性、耐薬品性、耐候性といった性質をもっています。また、フッ素塗料は酸性雨や紫外線に強く、防汚性に優れていることから、現在主流となっているシリコン塗料と比べると塗装単価は2倍近くなることもあり、高い耐久性のあるワンランク上の塗料材として位置づけられています。

雪が滑り落ちやすいので、積雪地帯の屋根の塗装でも親しまれます。また、酸性雨や紫外線に強く、汚れが付着しても雨で流れ落ちるため、長い期間メンテナンスをしないで済むことから、陸橋や鉄塔、高層ビルなどの塗装でもよく利用されます。

メリット デメリット
・最大のメリットは、高耐久性と汚れにくさ
・塗り替えの回数が少なく済み、結果的にトータルコストを抑えられる
・艶があるので外観が新築のようにきれいに見える
・価格が高いこと
・次回の塗替えの際に特別な下塗りをしないと塗料がくっつかない


フッ素塗料のオススメ使用例


「3階建て以上の戸建てや坪面積の大きい戸建て塗装」
…高い耐久性のため、耐用年数でシリコン塗料と比べ2~6年程度長く、塗装頻度を減らすことが出来るので、塗装を行う際に足場が通常の建物より多く掛かる建物では、トータルコストを減らすことができます。
「ご自宅の耐久性をあげる」
…汚れに強く、塗装を施すことで、建物の外壁の耐久性を上げることができます。
「汚れやすい箇所に部分使い」
…紫外線や酸性雨に強い特性を持っているので、屋根の耐久度を高めるために有効的です。

無機塗料

【耐用年数】15~20年  【塗装単価】4,500~5,850円/m2
無機塗料は原料にケイ素などの無機物を主成分とした塗料です。ケイ素とはガラスや陶器など身の回りに幅広く使われる原料です。無機物は炭素を含む有機物と異なり紫外線によって劣化しないので非常に耐久性があり、藻や苔が繁殖しにくいので美観性においても期待ができる塗料です。また防汚性や耐候性などの機能面も他の塗料と比べて高く、美しい外壁を長期間保つことができるのも魅力です。

現在の塗料の中では少し高い傾向にある無機塗料ですが、最長20年の耐用年数が期待できるため、トータルコストはより抑えることができます。

メリット デメリット

・塗料の中でも最も耐久性が有る点と、美観性に優れている点
・菌類の発生元になることがない
・無機物は鉱物やレンガ、ガラスのことなので不燃性がある。全く燃えないわけではないが
、有機塗料と比べて火事の際などにも燃えにくい。

・価格が高い
・固い塗膜となるので、地盤の動きで住宅自体の躯体にヒビが入った場合にはヒビと一緒に塗膜も割れてしまう。
再塗装する場合には、新しい塗料と無機塗料で形成された旧塗膜が密着しにくく、早期に剥がれてしまうことがあります。
無機塗料のオススメ使用例

「塗り替え頻度を抑えたい方」
建物を長く綺麗に持たせたい方や塗装頻度を減らしたい方には、耐久性の高い無機塗料がおすすめです。
「艶のある外観を楽しみたい方」
…艶のある仕上がりが長く続きます。また、菌が繁殖しにくいので、湿気の多い地域でも綺麗な外観を長く保つことができます。

さいごに

塗料は高ければ良いというわけではありませんし、安易に安さで選ぶのもオススメしません。また、いずれの塗料であっても、業者の腕がよくないと塗料が持つ効力は発揮されず、下地処理なども丁寧に作業してもらうことが大切です。

それぞれの塗料のメリット・デメリットを理解して、あなたのおうちの状態に一番あったものを使用するようにしましょう。

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